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ONE 172 | 武尊 vs ロッタン
観戦後記
武尊が、こんなにも素晴らしく大きな興行(ONE172)を成立させた。その武尊はあれだけ切望していたロッタン戦で、80秒でKO負けした。「これは自分の知っている武尊ではない」「もう終わってしまったのか」会場にいる観客全員が呆然としてしまうような敗北だった。残酷な時間だった。今の彼の限界がここなのだろう。彼の軌跡と共に生きてきたので、このような結果になったものの、やや清々しい気持ちにもなった。「これからどうするか」は彼自身が決めることなので、どのような意思決定になったとしても誠意を込めてエールを送りたい。
自分にとって格闘技は養分であり、武尊は負けたが、吉成名高、若松佑弥、野杁正明の壮挙に明日からのエネルギーを貰った。吉成は、ラックを翻弄し、3RKO勝利。芸術作品のような美しさがあり、既に十分高い期待値をさらに超えていった。若松の試合は、世界最強の一角モラエスを1RでKOし、試合後のマイクでの「お母さん、やったよ」に心を揺さぶられた。無骨な感じがまたいい。野杁は、下馬評では10:0で負けると言われていたフェザー級のPFPタワンチャイを相手に3RKO勝利。この試合が最も興奮し、立ち上がり、叫び、手に持っていたiPhoneがどこかにいってしまったくらいだった(後で見つけて拾った)。ONEに参戦してからの苦悩を鑑みると、泣かずにはいられない。試合後には子どもと奥さんがリングインし、子どもも涙を流していた。美しすぎないか。総じて、高い期待値とそれを超える努力の大切さを自分に言い聞かせながら観戦していた。明日からも真っ直ぐ生きる。

2025年3月23日、ONE Championshipが再び日本に帰ってくる。舞台は、格闘技の聖地・さいたまスーパーアリーナ。僕は現地で観戦する。前回の武尊 vs スーパーレック(ONE165)も現地で観戦したので、ONEを生観戦するのは今回が2回目だ。
今回は待ちに待った、武尊 vs ロッタン。他にも、超豪華なカードが揃っている。個人的な勝敗予想を、少しロジックと感情を交えてまとめてみたい。ちなみに、THE MATCH 2022は東京ドームで開催され(それも現地観戦した)、武者震いするくらい興奮していたのだが、今回は武尊の最後の試合かもという、やや寂しい感情もあり、今のところ興奮より寂しさが強い。武尊にはたくさんのことを教えてもらった。

勝敗予想

🥊 武尊 vs ロッタン
フライ級キックボクシングスーパーファイト
予想:武尊 KO勝ち(無難な予想だと、ロッタン 判定勝ち)
武尊の試合はやっぱり特別。レオナとの試合は号泣した。天心との試合は喪失感に苛まれた。スーパーレックとの試合は会場で叫び散らかした。相手のロッタンは、「攻」が目立つが、「守」も超一流。ロッタンがKOされるのは全くイメージできない。武尊も同じく。でも被弾は圧倒的に武尊が多いと思うが、有終の美への期待を込めて武尊のKO勝利を信じたい。
🥊 野杁正明 vs タワンチャイ
フェザー級キックボクシング暫定世界王者決定戦
予想:タワンチャイ 3R TKO勝ち
野杁はまだONEで実績残せていない(1勝2敗)のに、王者決定戦でいいの?という気持ちは若干ある。もちろん応援しているし、強さを信じているけれど。まあ、そこにチャンスがあったら、誰でも飛びつくとは思う。井の中の蛙にならず、ホンモノの強者しかいないONE フェザー級にチャレンジしていることそのものが本当に素晴らしいこと。予想を覆してほしい。タワンチャイ(現フェザー級ムエタイ世界王者)はキックボクシングの戦績はまだ少ないが、流石にしんどいな。
🥊 スーパーレック vs ナビル・アナン
バンタム級ムエタイ世界王座統一戦
予想:アナン 判定勝ち
この2人は過去に対戦しており、その時はスーパーレックがKO勝利。ナビルは身長が192cmもある(スーパーレックは171cm)。チートでしかない。距離を詰めるのがしんどい。スーパーレックが勝つとしたら、ローキックでアナンの脚を破壊するくらいしか思いつかない。成長したアナンに、うまく距離を外され、ポイントアウトされると思う。
🥊 アドリアーノ・モラエス vs 若松佑弥
フライ級総合格闘技世界タイトルマッチ
予想:若松 判定勝ち
モラエスは未だ世界トップの実力者ではあるものの、もう35歳。さすがにピークアウト感も否めない。1戦目は、モラエスがギロチンチョークで一本勝ちしているが、ややラッキーだったのではと思っている(格闘技にラッキーも糞もないが)。それ以外は、やや若松の圧力に押されていた印象がある。ONEはいまいちMMAが盛り上がっていない感じがするので、若松はここを獲って、UFCに参戦してほしい。
🥊 ジョナサン・ディベラ vs サムエー
ストロー級キックボクシング暫定世界王者決定戦
予想:ディベラ 判定勝ち
ムエタイの伝説 サムエーの試合が見れることが幸せ。サムエーは、キャリア400戦以上を誇るムエタイ界のレジェンド、2021年に一時引退し、2023年に復帰。今回はキックボクシングで、かつ、反応速度やスタミナに分があるディベラの勝利を予想する。サムエーはブランクもあるしね。ただ、サムエーにロマンを感じる。
🥊 マラット・グレゴリアン vs 海人(中止🥺)
フェザー級キックボクシング
予想:海人 判定勝ち
グレゴリアンが計量オーバーで試合があるか怪しい(何やってんだ)。試合が開催される場合は、その条件次第な気もする。海人はONEフェザー級(70.3kg)の体が完成している印象で(一方野杁はややフェザー級にしては小さい)、さらに、スピードやコンビネーションも兼ね備えている。これまでのキャリアでKO負けもない。グレゴリアンの圧力に屈せず、うまく戦うのではないか、という予想。
その他カード
- ペッディージャー vs KANA:ペッディージャー 判定勝ち
- アトム級キックボクシング世界タイトルマッチ
- ラック vs 吉成名高:吉成名高 KO勝ち
- アトム級ムエタイ
- 吉成名高は正直モノが違う
- フォラヤン vs 青木真也:青木 一本勝ち
- ライト級総合格闘技
- お互いONEでの最後の試合かな。長い間、お疲れ様でした
- ジョン・リネカー vs 秋元皓貴:秋元 KO勝ち
- バンタム級キックボクシング
- リネカーはキックボクシングは初かな。さすがにリネカーには勝ってほしい
- エイドリアン・リー vs 小川健晴:エイドリアン・リー 一本勝ち
- ライト級総合格闘技
- アンジェラ・リーを姉に、クリスチャン・リーを兄に持つ最強遺伝子の末っ子らしい
- ヨードレックペット vs 吉成士門:吉成士門 KO勝ち
- フライ級ムエタイ
- 吉成士門も正直モノが違う
- ザカリア・ジャマリ vs 陽勇:陽勇 KO勝ち
- フライ級キックボクシング
- ザカリアの試合見たことないけど、陽勇は強い。フルコンタクト空手がバックボーン
- スリヤレック vs 龍聖:スリヤンレック 判定勝ち
- 132LBSキックボクシング
- スリヤレックは龍聖にとって相性悪い気がする
最後に
どのカードをとってもメインを張れる選手たちが勢ぞろいし、今大会はまさに“オールスター戦”の様相。日本人選手たちの活躍はもちろんのこと、世界のトップとどう渡り合うかという視点でも楽しみが尽きない。まさに「THE MATCH 2」と言っていい。
試合が終わったとき、どんな景色が広がっているのか。誰かの涙があって、誰かの拳が高く突き上げられていて、きっと、また格闘技が好きになる。格闘技は、本当に美しい。

